最近、映像の仕事も頂けるようになり、改めてスチール(写真撮影)とムービー(動画撮影)の違いをスチールカメラマンからの目線で語ってみます。
比べてみると、実に様々な違いが見えてきます。そして、それ全てがコスト(ギャラ)に跳ね返っているのだと理解できます。
現在、感じている部分だけですが記録しておく大切さと、仕事を発注する皆様にも知っておいて損は無いと感じます。
(地方都市での現状ですから、都内一流の現場とは違います)
①機材の違い
・圧倒的に写真より撮影機材が高価です。今では一眼カメラでも動画が撮影できる時代になっていますが、本格的な映像になるとゼロが一つ違う価格に(驚)
マーケット全体で見る仕事の発生頻度からも、ギャラにも償却費用が内包されている比率が違うでしょう。
・写真なら1台で済む所ですが、ムービーですと2台3台とセッティングする場面も多いです。
・照明機材もストロボ1~2台の写真とは違います。手持ちか三脚だけの写真に比べ、画面に動きが必要な動画はムーブアームやスライダーなど物量に違いが大きいです。
・加えて、空撮も加わるとドローンもありますね!一眼カメラ並みの価格です。
②関係スタッフ人数の違い(共通を除く)
・写真撮影ですと、ぜいぜいカメラマン以外にAD程度でワンオペレーションも可能な現場も多いですが、動画は撮影助手だったり、ドローンパイロットだったり、ドローンも安全管理補助者がいたりと、大人数になりがちです。
・写真と違い、分業体制が普通。写真はカメラマンがレタッチして納品が多いですが、映像の場合は編集スタッフが別途という事が地方でも起こります。
・写真に無い部分として、ナレーションがあります。モデル・スタイリストなどはどちらにも関わりますが、声入れは本職に頼まないと素人感まる出しに!
③拘束時間が長い
・写真撮影は、普通の日中時間帯が全てです。しかし、映像ともなると日の出、夕焼けを収めたり、外ロケも多いです。必然的に夜明け前の集合とか、深夜に及ぶ撮影も普通に発生します(涙)
・天気の影響を受けやすいです。雨で延期になったり、晴れていても風が強くドローン撮影が無理という日も多発します(笑)ドローン関係者2名が3回目で撮れたなんて聞くと、全部コストに跳ね返るだろうなと感じます。
・予備日なんて考えると、写真の何倍も時間を使っているでしょう。そして、撮影の前に行われる打合せも、写真撮影よりしっかり準備しなければ、当日を迎えられません。撮影シーンによって設営準備も大規模になりがちです。
④納期まで・修正依頼の仕事量が違う
・動画の分業体制にも関係しますが、多くの人が関わると次のスタッフが待っている状態になり、深夜まで、いや終わるまで作業が続いていることでしょう。
・写真もレタッチ作業がありますが、カメラマンまで戻される案件は少ないです。
徹底して事前に、絵コンテなどで仕上がりを詰めていても、仮納品でクライアントさんのイメージを違えば編集まで戻ります。最終的な編集が終って、ムービー書き出し時間も写真とは雲泥の違いです。
⑤資金繰りへの影響
・僕の肌感覚ですが、金額が大きい割に支払いが写真より後になる事が多い。修正など追加での作業は、コストに大きく響き、クライアントからの着金も後手になる事例も多いです。写真などは、スポット仕事でその場でギャラを頂ける場合すらありますから、リスク費用も上乗せされているのは仕方ありません。
ここだけの話、飲食系の写真撮影で活きの良い食材が、漁の関係で入らなかったとしても、撮影は可能なんです(汗)
しかし、動画ですと活魚が入荷しなかっただけで延期となってしまいます。
これら、全てのコスト要因をギャラに含ませていくと、そりゃ何倍にもなりますよね…。
しかし、もう動画の時代が到来です!
どうコストを抑えてでもプロに仕事を依頼頂けるか。
これまで高コストで縁遠かった規模のお店さんにも、動画プロモーションの素晴らしさを分かって頂けるかを考え抜きたいと、水面下で画策しています(笑)